Diary

2018.02.08

京都精華大学ポピュラー・カルチャー学部音楽コース2017年度後期岸田繁ワークショップでの発表作品紹介

2017年10月から2018年1月まで、ほぼ毎週京都精華大学ポピュラー・カルチャー学部の7人の学生たちと「ソングライティングのワークショップ」を行いました。

いわゆるゼミのような形態で授業を行いましたが、普段から楽曲制作を行なっている(やり始めた)学生たちの楽曲をどのように仕上げるか、という手伝いをしている風を装いながら、特に何もしていません(音楽理論の講義や雑談中心でした)。

まだ若干20前後の現役学生である彼ら自身が、もしかしたら気づいていないかも知れない「自分自身の魅力」について、少しだけ背中押すようにレクチャーを行いながら、1作品ずつ完成させて提出してもらいました。

そんな彼らの作品をここに紹介したいと思います。表現方法も楽曲の雰囲気も完成度も7者7様です。

彼らは大学で音楽を中心に様々なことを学びつつ、日々自分自身の表現と向き合い、作品をしこしこ作っています。ここではそんな彼らの作品の中から1曲ずつ紹介します。勉学途中、まだまだ荒削りさもありますが、キラリと光るものにグッときます。①〜⑤が3回生、⑥、⑦は2回生の作品です。

ちなみに⑥のTD(ミックス)を手掛けたのは③のDOOM.ingさん。①のベースを弾いているのは②のSet Freeさんだったりします。⑦の歌を歌っているのは、解散した空中メトロのゆきさんみたいです。

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①帰りたくなる場所/赤木ミノ

https://youtu.be/fxMV8kx-OH4

真っ直ぐな声がとても魅力的です。この授業では「真っ直ぐな気持ち」と「自分の肌が覚えている風景」を表現に昇華させる方法を学び、楽曲の仕上げを丁寧にやっていました。メロディーやサウンドの心地よさ、心象風景の描写力、絶妙な温度感ある歌世界が光ります。

https://twitter.com/akagimino

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②風にさらわれて/Set Free

https://soundcloud.com/set-free-official/kgvbgoy1n9dm

1990年代の渋谷系ギター・ポップを彷彿とさせるキャッチーな楽曲です。心が高く飛翔するようなメロディーラインと歌詞のバランスが良く、バンド演奏の骨太な世界観との対比が面白いです。シンプルながら構成力が高く、ソングライターとしてのバランス感覚を感じます。

https://twitter.com/setfree_or_die

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③7th fields/DOOM.ing

https://soundcloud.com/l0efxewydksf/7th-fields

緻密なプログラミングを駆使して作り上げる「歌のない歌世界」は聴く人の目の前に解像度の高い風景を生み出します。サウンドのみならず、楽器の選び方やアレンジ、ミキシングに拘りを感じます。表現に個性があり、将来性を感じます。映像喚起力が何よりの魅力です。

https://www.instagram.com/nishi_kenta_doomingo/?hl=ja

https://twitter.com/sunbugtentou

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④夜更かし/旧こいけ

https://soundcloud.com/kyukoike/xxdd53sanoup

どんな世代のどんな人が聴いたとしても、懐かしさと共に胸のときめきを感じられるような、宝物のような一曲。歌詞は散文詩的で押韻がキャッチーに響きますが、じりじりとした深みや陰影のある世界観も感じます。朴訥とした歌唱と語り部のようなギターも魅力的です。

https://kyukoike.tumblr.com/

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⑤空っぽ/ツジヒロキ

http://13.gigafile.nu/0206-b9b281b1060496c59d17926bd1bf09c3a

既視感のある言葉、既聴感のあるメロディーやサウンドにも関わらず胸に引っかかるのは「自分が裸一貫になった丸腰の弱さ」と素直に向き合った歌詞世界があるからでしょう。カッコつけが、カッコつけきれないほどカッコ悪いことについて歌うのは、ちょっとだけカッコいい。

https://twitter.com/thehillows

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⑥ツギハギハート/のいざん
https://soundcloud.com/user-872325335/7aul0legkegi

ボカロやゲーム音楽、JPOPからトラッドまで様々な音楽的要素を散見しますが、大きな感情の起伏を描くためのエモーショナルな音楽。強い個性と確立された作家性があります。それら記号的説明を消し去るほどのエネルギーと、実直な歌詞、歌世界がとにかく大きな魅力です。

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⑦心の模倣犯を探せ/藤崎城介

https://youtu.be/gV3wCvK3Aks

アーティスティックで、1970〜80年代風「ロックの自由さ」と「異形の魅惑」を感じます。つまりはグラムです。技術や方法論はまだまだ荒削りですが、ドラマーとして各所活躍中の彼はライブ経験も豊富で、ロック的で艶めかしい匂いがするアイデアを沢山持っています。

https://mobile.twitter.com/jyochun0225

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聴いていただいた方いかがでしたでしょうか?

彼ら彼女らは、現役学生として、ちょっと面白い勉強をしながら、表現自体を楽しんでやっています。ポピュラー音楽を作ることは、少しの技術があれば、ほんとうは誰にでも出来ることです。

だからこそ、自分らしい音楽を追求する、ということが肝になっていると改めて気付きます。どうしても溢れ出てきてしまうものや、大好きでカタチにしたいことを表現していくものだと思っています。彼ら彼女らと触れ合うことで、多くの刺激を受けました。

7名の学生たちの音楽活動の今後を楽しみにしています。


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